スピンハウス日記

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夏の夜話

日中の喧騒とはうってかわって、夜のスピンハウスはひっそりと静まり返ります。
ここは、京都の西のはずれ、その昔なら西大路から西は西院(さい)といって、黄泉の国に通じる賽の河原のこと・・・と言ったとか言わなかったとか・・・今でこそこのスピンハウス界隈は住宅地、狭い路地をくねくねと歩き進むともう後には戻れない、突き当たりの行き止まりということもしばしば・・・だから、ここスピンハウスにやってくることは、選ばれた人、といってもいいのです。
そう、ここからはそのスピンハウスのもう一つの世界をご案内いたしましょう。

夏のお盆が近づくと、ポンタは心なしかそわそわ落ち着かなくなり、あれこれ家の中をかたずけ、身じまいよく掃除をしはじめます。それもそう、お盆にはご先祖様が帰ってくるからです。そんなこと・・・ほんと?と思っているあなた、お越しになったときスピンハウスのお仏壇をお見せいたしましょう。それはそれは室町の応仁の乱に始まるご先祖さんのお戒名を彫った位牌が何十、何百・・・と、所狭しと並んでいます。
その方々が、お盆のあいだ帰ってこられるのでポンタはそのお接待で忙しいのです。三度三度のお食事、あいだにお茶にお菓子、おビールも・・・と、自分と同じように小さなお膳に並べます。
さて、忙しくてうっかりお盆になってもお膳を用意していなかった年のこと。その夜、亡くなった父が台所の冷蔵庫に頭を突っ込んで物色している夢を見ました。翌日大慌てでお精進を用意したものです。
というわけで今年、ことしポンタはいつもにもまして神妙にお聖霊迎えをしました。
8月11日、その夜のことです。その日は寝苦しくなかなか寝られませんでした。昼間口の中に出来た口内炎も気になりました。明け方うとうとしかけると・・・・・見回すと、ここは北大路のあたり、ちょうど左手に「口腔外科」の看板・・・ちょっと診てもらおうかな、と思い扉をあけました。ちょっと太った受付の女性は愛想よく、「ここにお名前かいてください、先生はただ今お昼休みなのでちょっとお待ちくださいね」・・・書き終えて待っていると、次第に回りの様子が見えてくる。皆先生を待っている様子・・・受付に椅子はなく、普通の家っぽいつくりの長い廊下をすこしすすむと・・・居間に患者さんらしき人たちが椅子に座って待っていた。よく見ると、なぜか皆・・・裸・・・おっぱいのたくさんある太った女性、腹の傷口のカサブタをはがそうとしているはげ頭の男の人、髪の毛の長い女性のその髪をなぜかとなりの女性が口にくわえて・・・ふと見ると白衣の院長先生らしき人が・・・自転車の空気入れを必死にこぐ・・・すると・・・その毛をくわえた女性が・・・みるみる風船のように赤紫に膨れていって・・・そこまで見て、私は「帰ります!」
と言うやいなやその医院を走り出した、後ろで受付の女性の声!
と、そこへ・・・
「・・・おはようございます」
いつもの、ヘルパーさんが玄関に、
どうやら夢。汗をぐっしょりかいていた。

その日、お盆の棚経を挙げに来てくださったあんじゅさんにその話をした。
「きっとそれは餓鬼仏さんやわ、ご先祖さんと同じようにちゃんとご接待をしてあげなはれ、それがお盆の「お施餓鬼(おせがき)」ちゅうもんです、ええ夢みなはったなー」
その日ポンタは、いつもよりたくさん、そしてご馳走をいろいろ作ってお供養しました。

皆さん、こんなこと聞いたら、スピンハウスはお化け屋敷のように感じるかもしれません。いえいえここは、生きてる者も、ご先祖さんも賑やかーにわいわいと集う元気な家です。ポンタはいつもご先祖さんがうれしそうににこにこしながら、私達がここでしていることを見守ってくださっているように感じています。
そう! 人ばかりじゃない、羊もいっぱい、いてますよ!!!
お盆の花
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