スピンハウス日記

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織り物の原点、一目一目の仕事。「伊藤久仁子敷物展2/19-3/2・京都」

伊藤久仁子さんの巨大敷物(2.9m×2.6m)の事を
スピナッツ紙上でご紹介したのは、一昨年の2006年9月号。
 
伊藤久仁子4
一段一段ではない、一目一目の仕事。
見上げると、工房の天井につかえるほどの鉄パイプの枠、
工房の壁一面、縦糸が張られていました。


伊藤久仁子2
工房には工事現場の足場が組まれ、
梯子を上って作業します。

伊藤久仁子3
素材は、ラクダ、ヤク、羊、ヤギ、絹、麻・・・
いずれも野趣あふれる原始の匂い。

伊藤久仁子1
一日一日、一目一目・・・
がんがんビーターでよこ糸を打ち込みながらの作業。
そうして、1枚の敷物を仕上げるのに数ヶ月。

一目一目、考えながら迷いながら織り込んでいく伊藤さん。
そこがトワイニング(ヨコもじり織り)の醍醐味。
織り目が斜めに走るため、一目一目の方向で図柄が浮き出てきます。

織ってる時間と、遠くから作品を眺める時間。

伊藤久仁子5

私はいつも、伊藤さんの敷物を見るたび海を思い出します。
凪の海、嵐の海・・・朝日に光る波間の白波・・・

黒と茶の敷物は私には疾風怒涛の嵐の海に見えました。
白と青の敷物は穏やかな初夏の海に見えました。

伊藤さんの敷物を見つめるうち、自分が波間に漂う
ヨットに乗っている気分になりました。
地平線まで続く風をうけ、前へ前へ波を切って走る。
鳥の目になってみると、ふわふわと頼りなく漂って
いるように見えるかもしれないけれど、
船の上で舵を取る者は一波一波力を振り絞り、
時に風に波に翻弄されながら目標目指して進んでいる・・・つもり。

こういう敷物を織る人がいる。

伊藤さんを思うたび、
私はその一目一目に勇気つけられます。
なぜなら取材をさせていただいたとき、
伊藤さんは、その一目に悩みしばし考え、
一目に失敗したとつぶやき、
一目の失敗を悔やんで一段ほどく事もいとわず、
仕事をされていたからです。

その伊藤さんの作品展が2月に京都であります。
23日(土)には、デモンストレーションもあります。
もう一度、あの力強いビーターを打ち込む音を
私は聞きに行こうと思います。
       本出ますみ

伊藤久仁子6
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