五月は松本-クラフトフェア、充実のテキスタイル作家の面々。審査員の実力が問われる。

雨?嵐?と、心配される中・・・今年の「クラフトフェアーまつもと」は5月24日(土)25日(日)の2日間、夜間の土砂降りがうそのように日中は何とかお天気ももち、過去最高の動員数だったということです。
1028の応募から263の作家が所狭しとお店がひしめく会場。
場所には限りがあるので、書類審査はいたし方のないこととはいえ、のこり800人近くの作家さん達が気になります。
さて、今年から事務局のメンバーがかなり入れ替わったということ・・・参加する方も、どのように変わるのか注目していました。

正面玄関ヒマラヤ杉のゲートを入ってすぐの大講堂前。
スピンハウスポンタは今年も材料と情報満載で出店しました。初日は夕方まで、手を休める暇もないくらいの人気でした。

大分から出店の高木康子さん、奔放な糸と色遣いの服がハジケテイマス。

フェルトの浦田由美子さんは、そのシンプルな色と形で、最近雑誌にも引っ張りだこ。今回はキューブ状のフェルトで登場。丸を見慣れた目に四角は新鮮な驚きでした。フェルトで四角が作れるんだー

布フェルトの原聡子さん。スカーフだけでなく、ライオンや犬、猫など動物のポシェットが遊び心いっぱい。

名古屋の木村こずえさんはクラフトフェアー、キャリア組み。素材感を生かしたスタンダードな織物がこずえさんらしさ。シェットランドの強燃糸のベストはこずえさんの真骨頂です。

重田明美さんのショールは、その軽さと色のさわやかさで手紡ぎの良さを堪能。多くを語らずに、手にした人に充実感を与えてくれる布に仕上がっています。さりげなさが素敵。

米倉洋子さんのマフラー、ショールは本格派。そのむっくりとした手触りは記憶に残ります。
面白かったのは、ハードウィックの服地をしっかりフェルト化させて鍋敷きにしたもの。一見フェルト、よく見ると織物じゃない!!!これって北欧の伝統的な手法だけれど、こうして手に取ると、ほんとうに織物をフェルトにするよさが出ています。実力派です。

麻の績みをしていたのは金子貴子さん(忠兵衛)。
手前の麻幹(オガラ)を束ねたディスプレーがカッコイイ。

カッコイイだけじゃない、全部自分で苧績み(おうみ)して織ってる!と聞いて、も一つ驚いた!!!
今やらないと、出来る人がいなくなるから・・・と手元も鮮やかにやって見せてくれた。
こうして織られたものが、現代の生活で生かされる物になっていくよう願います。

今回ギャラリースペースにも登場していた小河幸代さん。透け感のある絹、ウールのショール。よく見ると専門家がオーオーッとのけぞる素材の遣い手です。去年ウェリッシュマウンテンでマフラーを作っていてびっくりしたのがこの人、実力派。

ウールと綿の組織を駆使したマフラーであっと驚いたのは、織工房るーむの松坂園さん。

この突起のマフラーもカッコイイ、

組織を変えて、綿ウールの縮絨率の違いで見せてくれたこの変化のある織物は圧巻でした。これぞ日本人の繊細さとセンスのよさを見せてくれた作品だと思います。

日高雅恵さんはヨーロッパ式のグスタフから紡ぐ麻織物を見せてくれました。
今度はこの手紡ぎ手織りの布でワークシャツを作って着てきます!と、言ってくれました。
そうそう!伝統手工芸は博物館で見るものではない、現代生活で使われてこそなのだ。そこでやっぱり普段着のワークシャツにするところがカッコイイのだ。麻のワークシャツ、そんな男前のシャツの似合う人になりたいもんです。

御大「大山茂」さんも色のコントラストがカッコイイ敷物で出店。奥様のエリナさんはフィンランドの織物を日本に紹介したパイオニア。
ヨーロッパでは織りは男の仕事です。とおっしゃっていました。

そしてやっぱりこの人が松本の目玉、この人が出なくなると松本に来る人も減るでしょう。稲田敦さんのはじけた人形達。仕事のパートナー、絵描きの川上ケースケさんの弁「刺してると気が休まる」・・・やっぱり手の仕事ってそういうことなんだよね・・・。

芸者人形、お色気大根などなど名前もいいわー。

佐々木トモミさんのナチュラルカラーのマフラーとハンチングは、まさに「ホームスパンのど真ん中」を行く格調の高い作品。
これぞ手紡ぎです。

いつも情報資料コーナーでお馴染みだったアヴリルさんが選外だったので、今回は場外の「百々屋」さん(松本市大手)で出店しておられました。これから松本で常設されるとのことです。
それにしても、クラフトフェアーの仲間内ではこのことで激震が走りました。彼らが落ちたということはスピンハウスもいつ落ちても不思議じゃない。
今まで、材料屋は作家とは別扱いで審査がなかったのですが、今年から審査されるようになりました。これは今回アヴリルさんやおりひめさんが欠けた事は松本に来られるお客様にも困ったことなのです。すなわちこの松本で1年分の材料の仕入れに来る人も多いわけで、クラフトの振興がテーマのクラフトフェアーですから、素材と情報をいかに確保するかは事務局の方には是非考えて欲しいところです。特に絹、麻、木綿、ウールなどの糸、布関係の素材屋はどれが外れても困るのです。
今回糸のアヴリルさんと布のおりひめさん、そして一般で応募した木綿のゆうきテキスタイルの馬渕さんが欠けたのは、ほんとうに手痛かったと言わざるを得ません。
それにしても、クラフトフェアーまつもとの審査がどのように行われていて、その基準がどうなのか、もっと明確に広く、皆にわかるように伝えてもらいたいと思います。

アヴリルさんの糸の鮮やかさオリジナリティは定評のあるところ。見ていてワクワクします。
ということで、今回のブログでは、クラフトフェアーまつもとのテキスタイルに絞ってポンタの感想を書いてみました。
このフェアーも24回目、さすがに歴史を感じます。
参加している作家さんたちの実力が充実していること、そして様々な新しいチャレンジがされていることも、ここにくれば一堂に見られるのも松本の魅力です。それほどクラフトフェアーまつもとのレベルは高いのです。だから全国から作家もお客さんも集まる、日本のクラフトのトップレベルが集まっていると言っても過言じゃないのです。
すなわち1000人から250人が選ばれる厳しさ。それだけ、審査員の責任も重いはずです。審査員に見る目がなければ玉石の玉が落ちる。
現代はインターネットの時代、パソコンに慣れた若い人が器用にインターネットで自分の仕事を上手にプレゼンテーションすれば、パッと世の人に取りあげられる世の中です。キャリアがなくても雑誌に取り上げられればその気になる。とかく一般雑誌の編集者も深くクラフトに精通しているわけでもなく、インターネットでヒットしたところを、手取り早く取り上げているようにも思われます。
すなわち、長年実績を積んできた人でも、インターネットの波に乗り切れなければ、人々の耳目からこぼれ落ちてしまうことはよくあること。キャリアと実力があっても、インターネットで発信していなければ影が薄くなる。そしてますます情報が偏って、今まで積み重ねられてきた技術とか情報が、ざるの目からこぼれ落ちるように見えなくなるのは惜しいことです。
松本のようなクラフトフェアーこそは、作家各人の情報と技術が交流し、さらなるレベルアップが図られることを目指してしかるべきではないでしょうか。
そういう意味でも松本は、1000人の審査をするのですから、それぞれのジャンルで、しっかり仕事を積んできた人を見極める目を持っている人が、アドバイザーとして審査に参加するべきではないでしょうか?(もうしておられたらごめんなさい。あまり審査の様子がどのようにされているのか、24回参加してきたポンタも知らないのです)。
このフェアーが20年30年50年と続いていく事を考えていくなら、是非、今まで24年の足跡を踏まえたうえで、今年の審査がされたのだということを、広くアピールしていただきたいと思います。
「公募展」とは、審査される側より、審査する側の資質と実力が問われていると思います。実行委員の方々がどのような方なのか、もうすこし露出されてもいいのではないかと思います。 文責:本出ますみ

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