国産羊毛の可能性 その2

岩手県種山が原の羊たち 写真:山本実紀

この顔の黒い羊が、日本で一番多い品種「サフォーク」です。

1989年、種山ヶ原の牧場にて、「羊シンポジウム’89」の当時の実行委員の面々。山本美紀さん他
「国産羊毛を丸ごと使う」というテーマは、今始まったばかりのものではありません。遡れば1989年の岩手大学であった「ひつじシンポジウム89」のイベントで500人余りが全国から集り、3日間に及ぶシンポジウム、熱いディスカッションが、その起爆剤だったといえるでしょう。(詳しくは「羊は未来を拓く」農文協発刊、欲しい方はスピンハウスまで、送料分でお送りします)
そのころから、国産羊毛を使ってどんな物ができるかという試行錯誤は続けられています。そのトップランナーが岩手のはらっぱ羊・山本実紀さんです。彼女はここ15年余り前から、国産サフォークの毛を使っての靴下を製造販売しておられます。(スピンハウスでも取り扱っています。)
今回は、その山本美紀さんのレポートをご紹介します。
「国産羊毛の可能性」
2005年10月の東京でのレア−研の総会に出席したときに、ずっと暗闇の中にあった国産ウールの活用の可能性に少し光が射し込んできたということを感じ、ウール部門を復活させたらどうか…という言葉を私自身が口にしていました。
羊毛ふとんにさえ国産ウールを使えなくなってしまったのは、国内で洗ってくれる工場がなくなってからです。小さなロットで洗ってくれる工場がなくなれば自分たちで洗うしかないと、くつ下用のウール洗いは毎年夏の私の大仕事になっていました。
昨年、本出ますみさんが関わる大阪の紡績工場からの縁で染色工場が洗毛を引き受けてくれると連絡をくれました。昨年春の茶路めん羊牧場のウールを試験的に洗い、試行錯誤がはじまったばかりですが、洗ってくれるところが出てきたことで次に歩を進める態勢ができてきました。その後、200kg?以上であれば洗ってくれる洗毛化炭処理の工場も見つかり、洗いについては何とかなりそうな状況です。
ただ、毛刈りしたウールはまとめて洗っておけばいいということではなく、用途に合わせたソーティング(仕分け)が必要になります。国産の羊毛に必要なのは用途です。
サフォークを主としたダウン種のウールの特質を活かした製品化の可能性は、まだ出尽くしていないと私は思っています。メリノのような細く柔らかなという質に対抗する方向性ではなく、そのもののよさであるやさしくもなく柔らかくもなく弾性に富むという特性が活きる製品の可能性です。ウールは毎年収穫されるものですから、日常に使うものの企画がのぞまれますし、ウール製品のよさを生活の中に取り入れていく、衣だけでなく住についての製品も考えられます。
製品化は時間がかかるものだと思います。製品以外に大量に使える用途として、断熱材などの建築資材に使えるといいのですが、すでに商品化されているもののなかに入っていくのはむずかしいかもしれません。けれども、日本に羊がいて、そのウールの活用の途を探っているということをアピールしていくことも必要なのかな、と書いていて思いました。いままで、ウールと関わりのなかった業種のなかにも可能性はあるだろうと思えるからです。ウール素材に関心をもってくれそうな業種に心当たりはありませんか?
現在、昨春の茶路めん羊牧場の成羊のウールが洗毛状態で200kg程あります。まだ糸にするかどうかも決まっていないウールです。紡績糸としては、ミュール紡績機で引いた糸が5番単糸と7番単糸、若干ですが、私のところにあります。サンプルはお送りできます?を引くとすれば、最低でも50kgの糸ができあがるので、最終製品まで責任をもつ必要が出てきます。洗毛は、茶路めん羊牧場の所有で、いまある紡績糸は山本の所有です。
国産ウールの活用は、日本にいる羊たちに居場所をつくっていくと思うのです。毎年毛刈りされるウールを、羊からの贈り物として受け取れる土壌をつくれたらと思います。茶路めん羊牧場でのウールの試みは、ほかの牧場へのサンプルになると私は考えています。ウールを活用していくラインができていけば、そこに乗せるウールに、ほかの牧場の参加も呼びかけていけるようになるからです。
昨年の試みで明らかになってきた問題のひとつは、夾雑物(草や藁などのゴミ)や毛先の汚れなど、どこまで外すかというスカーティングのことです。その線引きは、最終的な製品の質を考えると明確にしていく必要があります。夾雑物の入り方、脂の状態、汚れの状態で、化炭処理や洗毛温度を変えていくので、それらによるウールの傷み具合も変わるからです。素材は最終製品にそのまま反映します。それぞれが、それぞれの現場で最善をつくしている。そのことが最終製品にあらわれるものをつくっていきたい。今回の靴下の糸に混入した草を手ではじきながら、改めて思いました。
日本にいる羊たちのウールの可能性は、ウールに関わる手仕事の人がたくさん参加されているレア・シープ研究会に研究素材として託されているように私は感じているのですが、みなさんはどう思われますか?
寒さの厳しい冬が終われば、春の毛刈りです。ウールは毎年収穫されるありがたい素材です。ウール部門という形をとらなくても、いまをはじまりとして、すでにあるウールや糸からイメージをふくらまし、アイデアを募り、試作をもちより…という展開が生まれていくといいな…と、そんな動きを想い描いています。とりあえず、こんなことを考えた、思った、というやりとりからはじめたいと思い、書いてみました。いかが思われるでしょうか?
冬ごもりの山本まで、フッと思ったこと、考えていることなどを知らせてください。知らせてくださった方へバックしていく窓口の役目をとりあえず担ってみようと思っています。
連絡先:山本実紀(やまもとみき)
028-0152 岩手県花巻市東和町毒沢7区110
TEL & 0198-44-3378
e-mail harappa-hitsuji@camel.odn.ne.jp
興味のある方、本出までどうぞメールください。
sheep@spinhouse-ponta.com

Comments
山本さんは、羊毛を肥料化にしたことがありますか?もし、やったことがあったら方法を教えて下さい。